●2004年07月 熊野旅行編
其の1:仕事明けそのままに
<7月13日>
■新横浜
午前10時半頃。俺は用事を終えて新横浜の駅に到着した。
乗車予定の新幹線は1時間も後の発車。
……いきなりヒマだった。
くそ……予想以上に早く着いちまったな……。
とりあえず、駅構内の待合室でアイスコーヒーを買って時間を潰す。
窓の向こうに見える日差しが眩しい。
もう梅雨明けじゃねーのか……? 雨なんて、一滴さえも降りそうにない。
道ゆく人も皆、ハンカチで汗をぬぐいながら歩いている。
暑い。
グラスの中の氷が、カランと涼しげに音をたてた。
夏は、こんな一瞬さえも嬉しく感じる。
■のぞみ121号
11時32分。列車は新横浜を予定通りに出発した。
車両は、今や東海道新幹線のエースである700系。
カモノハシみたいな先頭車両のデザインはどーかと思うけど、乗り心地はやっぱり快適。
列車は出発してすぐに270km/hまで加速。
普段、時速80km/hにも満たない速度の列車ばかり利用していると、よけーに速く感じる。
■名古屋
名古屋までは一駅。時間にしてわずか1時間半。
1時間半って……大学通ってた時の通学時間と同じじゃねーか(汗)。
大したもんだね。
列車を降り、在来線への連絡口へと急ぐ。
次の列車は10分後の発車。その間に弁当も買わないといけない。
ホームに上がると、すでに列車は停車中だった。
急いで売店で弁当を買って、列車に乗り込む。
■特急(ワイドビュー)南紀5号

南紀はJR東海の気動車型特急。
そのため、俺はてっきり、「ながら」の車両と同じようなもんかと思っていたのだけど。
……ながらより良くないか? この車両。
座席位置を少し高く設定し、窓からの眺めを良くしている他、
ながら車両にはない、デッキと客室内とを隔てる車内ドアの設置など、
全体的に少しリゾート特急的なアレンジが行われている感があった。
早速、駅で買った『みそカツ幕の内』を食べ始める。んまい。
名古屋を出発してすぐアナウンスが流れ、その後車内販売がやってきた。
俺は基本的に車内販売は無視するのだけど(高いから)、
こう暑いと、冷たいお茶とかアイスがよく売れるらしい。
デブがやる気なさげに売っていた。
いや、この車内販売の男、本当にやる気無い。
呼び止められるたびに「うぜぇ」って雰囲気爆発の表情をする。
心持ち、カートを押して歩くスピードも速い。
呼び止められる前に客席を通り抜けようとしているのだ。
もちろん「お弁当、コーヒー、お茶、冷たいジュ―ス、缶ビール、アイスなどいかがでしょうか」
などとゆーカンジのセリフも言う気配がない。
ひたすら「はい、カート通ります。すみません、通ります」で、素通りしようとしている。
なんかもぉ、「何でその仕事やってんの?」って突っ込みたくて仕方がない。
まぁ、俺はデブから買うものは何もないし、どーでもいいやと窓の外に視線を移す。
列車は木曽三河川を抜け、三重県に突入していた。
ほどなく桑名に到着。まだまだ、旅はここからである。
多気を過ぎて、列車は風光明媚な川沿いを行く。
緑の迫ってくる感じや、涼しげな水の流れが気持ちいい。
そういえば、松阪を過ぎたあたりからデブが来なくなった。
デブも風景を眺めて癒されているのだろうか。
やがて窓の向こうには、海が見えてきた。尾鷲である。
大河川を渡り、山を越え、そして海沿いに辿り着く。
南紀の走るこの路線は本当に変化に富んでいて、見ていて飽きない。
尾鷲は、このあたりでは多少大きな町。人が少し降りていった。
風景はこれまでの緑多い景色から一変して、住宅地の中を進む。
またデブが来た。
景色が癒される感じじゃなくなったから来たのだろうか。
相変わらずやる気はない。呼び止められては嫌な顔している。
なんか、このデブのせいで、この列車の品格を損なっている気がするのは俺だけだろうか。
やはり、車内販売は笑顔のステキな美人おねいさんに限る。
■新宮

列車は熊野市でも人を多少降ろした後、新宮に到着。
ここはJR西日本とJR東海の境界駅である。
ちなみに、駅の管理は西日本がやっている。駅員さんの制服は、久々に見るJR西日本デザインだった。
列車は紀伊勝浦まで行くのだが、俺は一旦ここで下車した。
改札を抜け、駅を出て、おもむろに歩き始める。
最初に向かうは熊野速玉大社。熊野三山の一つであるキレイな神社である。

大社へ向かう途中、町のいたるところに「世界遺産」をPRする案内が掲げられていた。
そういえば、このあたりは最近、世界遺産に登録されたばかり。
屋久島が世界遺産登録されて一気に観光客が増加したように、
ここでも観光客を呼び寄せようとしているのだろう。
まぁ、確かに、その地域の文化的・自然的価値が世界に認められたという証明なのである。
売り文句としては最高である。

熊野速玉大社までは15分ほど。バスもあるようだが、わざわざ乗ることもない。
朱の色が美しい神社だった。
近々、祭があるのだろう。境内では飾りつけやステージの設置が行われていた。
やはり、神社と言えば夏祭り。浴衣。セクスィ。オーイエー(何)。
きっと、当日は華やかなのだろう。
俺が神社に行った時、ちょうど観光バスが入ってきて、団体客が押し寄せてきた。
俺はこういうところを独り静かに見るのが好きなので、ちょっとタイミング悪かったな、と思った。
少し写真などを収めてから、次の場所に移動することにした。


歩いて5分ほどの場所にある丹鶴城公園に移動した。
城跡を使った公園の典型的なものである。既に建物は残っていない。

ここからは新宮の町並みが一望できる。
反対側にまわると、美しい熊野川の流れが悠久の流れをたたえている。
その、川にかかる1本の鉄橋。上をJRの列車が通過していく。
いやはや、本当に絵になる構図だわ。
まさに絶好のビューポイント。
この公園にはあまり団体も来ないらしく、非常に静かな雰囲気。
速玉大社では団体に巻き込まれてのんびり出来なかった分、少しゆっくりと、風景を眺めていた。


■特急オーシャンアロー34号

徐福公園とかいう怪しげな公園を経由して駅に戻り、18時過ぎの特急に乗り込んだ。
JR西日本の誇る特急オーシャンアロー。
勝浦までの乗車なので、わざわざ特急に乗ることもないのだけど、
せっかく周遊きっぷのゾーン券を使っているので、特急に乗らないともったいない。

オーシャンアローには展望ラウンジが設けられている。
海側を向いた座席が取り付けられているフリースペースである。
勝浦までのわずかな時間、俺はそこで海を眺めていることにした。
通常の座席には、最終日に乗る予定。
それはそれで楽しみなのだが、展望ラウンジもそれなりに快適で良いものであった。
ただ……
列車は制御振子搭載なので、横向きの座席だと酔いそうになる。
あまり、ラウンジに長居はできないかもしれない。
■紀伊勝浦

列車は10分少々で紀伊勝浦に到着。
今日はここで一泊の予定である。
列車を降り、改札を出てから徒歩数分。
すぐに目的の宿に辿り着いた。
勝浦シティリゾートプラザホテル。
勝浦には全般的にあまり大きな建物はないが、ここもそれほど大きなところではない。
勝浦の宿と言うと、駅から少し離れた半島にあるホテル浦島や、
本当に島の中にあるホテル中ノ島が有名なのだが、そんなところに泊まる金はないので、
1泊朝食付6千円のこの宿にした。一応、ここでも温泉付きである。

チェックインを済ませた後、近くのコンビニに買出しに行く。
地元のローカル牛乳とかお茶を買う。
凍らせたペットボトルもあって、夏にはいいな、なんて思う。
ただ、この店、全般的にあまり商品が多くない。
痒いところに手が届くような品揃えにはなっていないのが実情だろう。
そのくせ、エロビデオはミョーに充実している。
店の名前が「コンビニBIG」だったので、何がBIGなんだろうと思っていたのだけど、
「ああ、エロビデオコーナーがビッグなんだ」と思わず納得。
本当は違うのかもしれない。けど、実質的に、そんなカンジだった。
買出しを済ませて部屋に戻る。
その後、汗だくになったシャツを脱いで、バスルームでごしごし洗う。
シャツをもう一枚くらい余分に持ってきていたら良かったんだけど、
ここまで汗だくになるとは思ってなかったしなぁ……。
きっちり絞ってから部屋に干す。エアコン効いて乾燥しているから、明日までには乾きそうだった。
洗濯後、夕食をとりに行く。
この日は特に夕食がついてなかったので、適当に食べることになるが……
まぁ、せっかく勝浦来てるんだし、やっぱマグロだろってことでまぐろ丼を食べる。
んー、まぁ普通かな……。特別うまいってわけでもないか……。
夕食後、ベッドでゴロゴロしてたら疲れてたようで、そのまま寝てしまう。
気が付いたら深夜2時。
やべ……温泉入ろうと思ってたのに、風呂の時間終っちゃったよ……。
ま、朝も6時から入れるようなので、朝風呂で済ませようと決め込む。
さすがに夜勤明けでそのまま来たから、もう限界だった。